02ネイルのための皮膚科学

皮膚と爪の関係

爪は、皮膚の付属器官の一つで、表皮の角質層が硬く変化したものです。爪・毛・汗腺・皮脂腺はいずれも皮膚から生まれた仲間で、爪は手や足の指先を保護する大切な役割を担っています。ネイリストが皮膚のしくみを知ることは、安全な施術の裏付けになります。

皮膚の3つの働き

皮膚には、大きく次の3つの働きがあります。

保護作用…皮膚の表面は弱酸性の皮脂膜でおおわれ、外からの異物・細菌・ウイルスの侵入を防ぎます(バリア機能)。紫外線等の光線を吸収する働きもあり、外界からの異物やウイルス、微生物の侵入・付着を無害化します。
体温調節作用…体内の状態を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)により、暑いときは汗腺から汗を出して体温を下げます。表皮や皮下組織は熱を伝えにくく、体温を保ちます。
吸収作用…皮膚には経皮吸収の働きがあり、とくに油溶性ビタミン(A・D・E)や油性のクリームは吸収されやすい性質があります。

皮膚の3つの働き:保護作用(弱酸性の皮脂膜でバリア機能)、体温調節作用(汗で体温を一定に保つ恒常性)、吸収作用(経皮吸収・油溶性ビタミンADEは吸収されやすい)
皮膚の3つの働き

この3つを表にまとめます。「消化作用」は皮膚の働きには含まれません(消化は胃や腸の働きです)。「皮膚の3つの働きに当てはまらないものはどれか」という形で問われます。

働き内容
保護作用弱酸性の皮脂膜が、異物やウイルス、微生物の侵入や付着を無害化する。紫外線からも体を守る。
体温調節作用汗腺から汗を出して体温を下げる。表皮や皮下組織は熱を伝えにくく、体温を保つ。
吸収作用経皮吸収=皮膚を通して物質を体の中に取り入れる働き。保湿クリームを塗ると皮膚が潤うのはこのため。

経皮吸収されやすいのは油溶性ビタミン(A・D・E)や油性のクリームです。水溶性のものは吸収されにくい性質があります。

皮膚のバリア機能の図。皮膚表面を覆う薄い皮脂膜が、外からの異物や刺激を表面で防いでいる
皮膚のバリア機能(弱酸性の皮脂膜)

図が示すのは、皮膚の表面が弱酸性の皮脂膜で覆われている状態です。この膜が異物・細菌・ウイルスの侵入や付着を無害化しています。

数値も押さえましょう。健康な皮膚の表面はpH4.5〜6.5程度の弱酸性に保たれています。細菌はアルカリ性の環境で繁殖しやすいため、弱酸性であること自体が防御になっています。

石けんで洗うと一時的にアルカリ性に傾きますが、健康な皮膚には自ら弱酸性に戻すアルカリ中和能が備わっています。ただし洗いすぎると皮脂膜が失われ、この力が追いつかなくなります。手指消毒を繰り返すネイリストの手が荒れやすいのは、このためです。

皮膚の構造

皮膚は体の外表面を覆っている大切な器官で、総面積は成人で約1.6㎡、重さは体重の約16%、厚さは平均2.0〜2.2mmほどです。

皮膚は外側から順に、表皮真皮皮下組織3層からなります。真皮にはコラーゲン(膠原線維〈こうげんせんい〉)やエラスチン(弾力線維〈だんりょくせんい〉)、ヒアルロン酸があって肌の弾力やうるおいを保ちます。真皮にはこのほか、栄養や酸素を運ぶ血管や、痛み・触覚・温度などを感じ取る知覚神経も通っています。いちばん下の皮下組織は脂肪をたくわえて体を保護・保温します。

皮膚の構造の断面図:外側から表皮・真皮・皮下組織の3層と、汗腺・皮脂腺・毛の位置
皮膚の構造(断面図)

健康な皮膚の表面は、皮脂と汗が混じった皮脂膜によってpH4.5〜6.5程度の弱酸性に保たれています。これが細菌の繁殖を抑える一因になっており、皮膚のバリア機能を支えています。アルカリ性に傾くと細菌が繁殖しやすくなりますが、健康な皮膚には自ら弱酸性に戻るアルカリ中和能が備わっています。

皮膚を外側から順に並べると表皮 → 真皮 → 皮下組織です。この順序はそのまま問われます。

真皮の2つの層

真皮の厚さは表皮の数倍あり、さらに2つの層に分かれます。名前と、そこに何があるかが問われます。

特徴
乳頭層
(にゅうとうそう)
表皮の基底層と接する上側の層。毛細血管・脈管・神経系が多い
網状層
(もうじょうそう)
コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などで構成され、皮膚のうるおいや弾力を保つ
真皮の構造の断面図。上から表皮、毛細血管と神経が多く波打つ乳頭層、コラーゲンとエラスチンが網目状に走る網状層、脂肪細胞からなる皮下組織
真皮の構造(乳頭層と網状層)

真皮は血管が多いため、体温調節にも関わっています。暑いときには血管が拡張して熱を放散し、寒いときには収縮して熱の放散を防ぎます。

皮下組織のはたらき

いちばん下の皮下組織は、別名を皮下脂肪組織といいます。皮膚と、その下の筋肉や骨との間にあたる部位で、主に体内の保温と栄養貯蔵(エネルギーの保存)を担っています。

表皮の5層と細胞

表皮はさらに5つの層に分かれます。上から順に覚えましょう(透明層は手のひらと足の裏だけにあります)。

層(上から)特徴
角質層(かくしつそう)皮膚のいちばん外側。脱核(核を失うこと)した死んだ細胞で、表皮のターンオーバー(約4週間の角質周期)によりフケや垢となってはがれる。
透明層(とうめいそう)
〈淡明層〉
表皮の厚い手のひらや足の裏だけにある層。細胞の境界がほとんどないのが特徴。
顆粒層(かりゅうそう)扁平または横に長い紡錘形(ぼうすいけい)の細胞。紫外線を反射させるケラトヒアリン顆粒を多く含む。
有棘層(ゆうきょくそう)表皮の中で最も厚い層表皮に血管はないが、リンパ液が流れて栄養を送る役割を担う。
基底層(きていそう)表皮の最下層。真皮にある毛細血管から栄養を補給し、常に細胞分裂を行って上の有棘層へ移行していく。
表皮の5層の断面図。上から角質層・透明層(手のひら足の裏のみ)・顆粒層・有棘層・基底層と、基底層の色素細胞(メラノサイト)
表皮の5層構造(断面図)

表皮に血管は通っていません。それでも細胞が生きていられるのは、有棘層をリンパ液が流れて栄養を届けているからです。栄養の大もとは、真皮の毛細血管から基底層が受け取っています。この「血管は真皮まで、表皮はリンパ液」という関係が問われます。

表皮を作る3つの細胞

層とは別に、表皮を構成する細胞も出題されます。名前とはたらきを対にして覚えましょう。

細胞はたらき
角化細胞
(ケラチノサイト)
表皮細胞の95%を占める。基底層で産生され、有棘層・顆粒層へと上へ移動しながら変性し、約2週間で角質層に達する。その後約2週間で乾燥してフケや垢となってはがれる。
ランゲルハンス細胞皮膚免疫を司る。外部からの菌・ウイルス・カビ・紫外線・熱など、さまざまな皮膚の情報を脳へ伝達するセンサーの役割をする。
色素細胞
(メラノサイト)
紫外線があたることで、皮膚の色素であるメラニンを産生する細胞。基底層にある。

数字が2つ出てきます。角化細胞は表皮細胞の95%、そして基底層から角質層まで約2週間+はがれるまで約2週間=合計約4週間です。角質層の説明にある「約4週間の角質周期」とこの内訳がつながります。

ターンオーバーとメラニン

表皮では、いちばん下の基底層で生まれた細胞が上へ押し上げられ、形を変えながら角質層に達し、最後はフケや垢となってはがれ落ちます。この生まれ変わりをターンオーバーといい、健康な肌ではおよそ4週間(約28日)の周期でくり返されます。

紫外線を受けると、基底層の色素細胞(メラノサイト)メラニンという色素を作り、肌を紫外線から守ります。メラニンが過剰に作られたり、ターンオーバーが乱れて排出されずに残ると、シミの原因になります。

皮膚の付属器官

皮膚から生まれた付属器官には、次のものがあります。

汗腺…汗を分泌する器官。
皮脂腺…皮脂を分泌する器官。
毛・爪…主に皮膚(体)を保護する器官。

骨は皮膚の付属器官ではありません(ひっかけに注意)。

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皮膚科学 小テスト(3級)

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