教科書|分野 6/25
06ネイルのための化粧品学
化粧品の定義と使用目的
ネイル用化粧品には様々な種類があります。使用目的や成分まで理解したうえで、正しく安全に使用することが大切です。
化粧品は薬機法(医薬品医療機器等法)で次のように定義されています。
①人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変えるため、②身体を健やかに保つために、身体に塗擦・散布などの方法で使用されるもので、③人体に対する作用が緩和なもの。
薬機法は化粧品について、①使用目的、②使用方法、③作用の3点を規定しています。使用目的は次の3種類に分かれます。
| 使用目的 | 該当するネイル用化粧品 |
|---|---|
| 人の身体を清潔にする | 洗浄剤など |
| 人の身体を美化し、魅力を増し、容貌を変える | カラーポリッシュ、ベースコート、トップコートなど |
| 人の皮膚もしくは毛髪を健やかに保つ | ネイルケア製品(キューティクルオイル、キューティクルクリームなど) |
また化粧品は、主要成分について全成分表示をすることが法律で義務付けられています。
ネイル用化粧品の役割
施術で使う主な製品の役割を押さえましょう。順番と目的をセットで覚えると、実技の手順の理解にもつながります。
| 品名 | 使用目的 |
|---|---|
| ベースコート | 爪を保護し、カラーポリッシュの接着を高める。色素の爪への沈着も防ぐ。 |
| カラーポリッシュ | 爪に色をつけ、美しく見せる。 |
| トップコート | 皮膜を強化し光沢を与えることで、色持ちを良くする。 |
| リッジフィラー | 爪表面の凹凸(リッジ)を埋めてなめらかに整える。 |
| キューティクルリムーバー | 甘皮まわりの不要な角質をやわらかくして取り除きやすくする。 |
| キューティクルオイル/クリーム | 爪と爪まわりの皮膚に油分・水分を補い、乾燥を防ぐ。 |
なお、カラーリングの際はキューティクル(爪上皮)にポリッシュを塗布しないよう注意します。ナチュラルネイルのファイリングには180〜240グリッドのエメリーボードが適しています(数字が小さいほど目が粗い)。
塗り重ねる順番も、上(外側)から見ると次のようになります。

3つのコートは「順番」と「役割」で覚える
図の並びは実際に塗る順番そのものです。ベースコート → カラーポリッシュ → トップコート。この順番はそのまま出題されます。
| 品名 | 役割 |
|---|---|
| ベースコート | 爪の表面の凹凸をなめらかにし、カラーポリッシュの密着をよくする。着色剤による爪の変色を防ぐのも役割。 |
| カラーポリッシュ | 爪に色をつける。ベースコート・トップコートに着色剤(顔料)を加えたものにあたる。 |
| トップコート | 光沢を出し、カラーポリッシュを保護して持ちをよくする。 |
役割から順番が導けます。下地をならすベースが先、守るトップが最後。そしてベースコートとトップコートは成分が基本的に類似していて、そこに着色剤が入るかどうかでカラーポリッシュになる、という関係です。
ベースコートを省くと、色素が爪に沈着して黄ばみの原因になります。「ベースコートは変色を防ぐ」という記述は正しい選択肢としてよく出ます。
化粧品の成分の役割
ネイル用化粧品は、いくつかの役割をもつ成分の組み合わせでできています。成分の役割(〜剤)と、その代表的な物質名をセットで押さえましょう。
| 役割 | はたらき | 代表的な成分 |
|---|---|---|
| 皮膜形成剤 | 爪の上に膜をつくる、主となる成分。 | ニトロセルロース |
| 皮膜形成補助剤 | 皮膜の強さやツヤを補う。 | アルキッド樹脂、アクリル樹脂 |
| 揮発性溶剤 | 成分を溶かして塗りやすくし、蒸発して乾く。 | 酢酸エチル、酢酸ブチル |
| 可塑剤(かそざい) | 皮膜にやわらかさ・柔軟性を与え、割れにくくする。 | — |
| ゲル化剤 | 粘性を増し、内容物の沈殿を防ぐ。 | 有機性ベントナイト |
| 着色剤 | 色をつける。 | 有機顔料、無機顔料 |
| パール剤・ラメ剤 | 光沢やきらめきを出す。 | パール顔料、酸化鉄、雲母(うんも) |
顔料の違いも押さえましょう。有機顔料はタール系色素で、法定色素の範囲内で使用が認められており、無機顔料に比べて色が鮮やかで色数も豊富です。無機顔料は酸化チタン、酸化鉄などで、メイクアップ化粧品にも使われます。
製品ごとの内容成分
製品ごとに、どんな成分でできているかを見ていきます。ベースコートとトップコートは、基本的に成分が類似しているのがポイントです。
| 品名 | 内容成分の特徴 |
|---|---|
| ベースコート | 皮膜形成剤(ニトロセルロース)、皮膜形成補助剤、揮発性溶剤が主。カラーポリッシュから着色剤を除いたものと基本的に類似する。接着効果を高めるために皮膜形成補助剤(樹脂類)の配合を多くし、かつ速乾性を促すために揮発性溶剤の割合を多くする場合もある。 |
| カラーポリッシュ | 基本的にベースコート&トップコートと類似しているが、着色剤の顔料を入れることで様々な色ができる。ゲル化剤(有機性ベントナイト)で沈殿を防ぐ。 |
| トップコート | ベースコートと同様の成分構成。光沢のある皮膜をつくる。紫外線吸収剤(オキシベンゾン)が配合されることもある。 |
| リッジフィラー | 基本的にベースコートの内容成分に、シルク等の繊維の粉末が配合されている。粘性を増すためにゲル化剤として有機性ベントナイトを加え、内容物の沈殿を防止している。 |
| ソルベント(薄め液) | カラーポリッシュ、トップコート、ベースコートに含有されている、揮発性溶剤としての酢酸エチル、酢酸ブチルが主成分。 |
| ポリッシュリムーバー | 皮膜溶解成分のアセトン、メチルエチルケトン等が主成分。ノンアセトンタイプもあり、主成分として酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が配合される。乾燥を防ぐために油性成分(ひまし油、オリーブ油、ラベンダー油等)や保湿成分(プロピレングリコール、アロエエキス等)が配合されている。 |
| キューティクルリムーバー | 精製水が主成分で、ローションにも配合されているトリエタノールアミン等の弱アルカリ成分と、保湿剤及び柔軟剤としてのグリセリンで構成される。スキンコンディショニングとしてトコフェロール、アロエエキス等が配合される場合もある。 |
ネイルケアに使う製品の内容成分
ポリッシュ系のほかに、ケアで使う製品の成分も問われます。「どの油が何由来か」が要になります。
| 品名 | 使用目的 | 内容成分 |
|---|---|---|
| キューティクル クリーム | 爪と爪周辺の皮膚にうるおいを与え、表面に薄い油膜を作って乾燥から守り保湿効果を高める。 | 鉱物油(ワセリン、流動パラフィン)/動物性油脂(蜜蝋、ラノリン)/保湿剤(グリセリンなど) |
| キューティクル オイル | 爪と爪周辺の皮膚の乾燥を防いで油分を補い、やわらかくする。 | 植物性油脂が主成分(ホホバ油、オリーブ油、小麦胚芽油、米胚芽油、アボカド油など) |
| ハンドローション | 皮膚に水分・保湿成分を与え、肌のうるおいを保つ。モイスチャーローション、エモリエントローションとも呼ばれる。 | 精製水/高級脂肪酸(ステアリン酸など)/保湿剤(プロピレングリコールなど)/香料 |
| エタノール | 手指や器具の消毒に使う。清浄・収れん・可溶化・乾燥促進を目的に配合されることもある。 | 別名エチルアルコール。無色透明の揮発性の液体で、消毒用は76.9%以上81.4%以下で使用 |
| 液体ソープ | 手指の洗浄に使う。ネイルケアの際にフィンガーボウルに適量を入れる。 | 精製水/石けん素地/保湿剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)。薬用タイプには抗菌剤を配合 |

油の由来はここで整理できます。キューティクルクリーム=鉱物油+動物性油脂(ワセリン・流動パラフィン/蜜蝋・ラノリン)、キューティクルオイル=植物性油脂(ホホバ油ほか)です。クリームは油膜で「ふたをする」、オイルは油分を「補う」と目的でも区別できます。
エタノールは消毒剤として覚えがちですが、化粧品に欠かせない原料でもあり、濃度を変えて各種物質を溶解する溶剤として多用されます。別名のエチルアルコールも問われます。
覚えておきたい化粧品の成分
成分名とその由来・はたらきは、そのまま出題されます。混同しやすいものが多いので、対応を確認しておきましょう。
| 成分 | 特徴・使われる製品 |
|---|---|
| シアノアクリレート | 無色透明の成分。グルーやレジンの原料。 |
| 有機性ベントナイト | 粘土鉱物のベントナイトを加工したゲル化剤。リッジフィラーに配合。 |
| シリカ | 別名二酸化ケイ素。 |
| オキシベンゾン | 紫外線吸収剤。日焼け止めクリームにも使われる。トップコートに配合。 |
| ホホバ油 | 乾燥地帯に自生する灌木の種子から得られる油。キューティクルオイルに配合。 |
| ラノリン | 羊の毛に付着した分泌物を精製した油性原料。キューティクルクリームに配合。 |
| 蜜蝋(みつろう) | ミツバチが分泌腺から出したロウを精製した油性原料。キューティクルクリームに配合。 |
| グリセリン | 天然の皮膚成分でもある保湿剤・柔軟剤。キューティクルリムーバーに配合。 |
| トコフェロール | ビタミンE誘導体。皮膚の血行を良くするはたらきがある。 |
由来がまぎらわしいものは、ラノリン=羊、蜜蝋=ミツバチ、ホホバ油=灌木の種子と、出どころで区別すると覚えやすくなります。
油性原料の役割を表す用語も覚えておきましょう。エモリエント効果とは、皮膚の水分の蒸発を防ぎ、やわらかくなめらかに保つはたらきのことです。ホホバ油はエモリエント効果が高くキューティクルオイルに、ラノリンはエモリエント効果と柔軟作用がありキューティクルクリームに使われます。
色彩理論と化粧品学 小テスト(2級)
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